津保美堂製菓
■祖父の代から受け継ぐ顔の見える商売
店を構えた津田と最初に商売を始めた浅原の地名・保曽原から1文字ずつとって「津保美堂」と命名。昭和8年に、せんべい、あめ、菓子の製造・販売を始めた。
店には、昔ながらの手作りパンや自家製の菓子など、懐かしい味が所狭しと並ぶ。
しっとりとした生地に餡をはさんだどら焼き「佐伯だより」は、合併前の町の名前がついているお菓子。地元のお土産として買い求める人も多い。
高橋さんは、今日も変わらず両親と一緒に店先に立ち、なじみの顔や遠くからのお客さまに笑顔で対応する。店を大きく広げるのではなく、地元のよさを大事にしながら、これからも「顔の見える商売をしていたい」と店の将来を描く。
■人気の二重焼きと看板かかし
津保美堂といえば「二重焼き」。道具があったので、軽い気持ちで作ってみたのが始まりだという。30年前から販売を始めた商品で、特注の型で焼き上げるその大きさと、店で炊く独特の餡がこだわりだ。ドライブの立ち寄りスポットとして紹介されたテレビ番組の影響で、いつしか行列ができるようになった。
また、店先では、麦わら帽子に長靴の「ふたえ」さん「やいたろう」夫婦、「クリーム」ちゃん「あずき」ちゃん「しろう」君と、いずれも二重焼きにちなんだ名前の看板かかしがお客様を迎える。ほんわかとした津保美堂の雰囲気が伝わる。
「かかし」を通じて、地元の事業者やお客さまとのコミュニケーションが増えた。自分たちが始めた小さな取り組みが、少しずつ効果を生んでいるのを感じる。
■廿日市市の奥座敷へ人の流れを作りたい
これからは人の心を和ませる「かかし」で地域へ足を伸ばしてもらい、廿日市の奥座敷への人の流れを作り、地域の良さや良いところを知ってほしいと思う。
まずは、立ち寄りスポットやかかしの情報を伝えることから。仲間と一緒に、できることから始めるつもりだ。