株式会社ギケン
■おもてなしが根付いている地域・佐伯
広島市内にあった会社の移転先として選んだのが、佐伯地域のこの場所だった。当時、まだ幼かった子どもを連れて、よくキャンプに訪れていたという。緑に囲まれ、近くを流れるせせらぎの音が聞こえる環境で、最新技術を駆使したデザイン開発や試作開発を手掛けている。
驚いたのは、地域の人があいさつや掃除・ゴミ拾いなどを当たり前にやっていること。周囲の環境は、いつも清潔感があり、気持ちの良い状態が保たれている。
外から来る人にはもちろん、住んでいる人の間にも、おもてなしが根付いている地域という印象をもった。このおもてなし自体が、地域の「売り」になるのではないかと感じるという。
■地元企業としての「地域へのお役立ち」
会社では、使う人への思いやりに溢れたものづくりをめざして、「ギケンならでは」といえる製品の研究開発に取り組んでいる。
「おもいやり活動」と名付けた活動を通じて、手の不自由な方のための「ゆびペン」、カラフルな色づかいで持つ人の気持ちを明るくする杖、使う人の手の形に合わせたグリップがオーダーメイドできる杖などを開発してきた。
そんな会社だからこそ、ビジネスベースではない「地域へのお役立ち」も、大切な使命と考えている。地元の事業者が手掛けるけん玉制作に協力するなど、すでに連携して取り組んでいる案件もある。
自社の3Dプリンターを使ったかかしのフィギュアやキーホルダーの制作なら、材料代くらいで協力したいと考える。手作りのかかしにテクノロジーを少し取り入れて、例えば社長や店主の3Dかかしを作ってみるのも面白いのではないかとイメージも膨らむ。
■新たな分野で地域ぐるみの連携を
現在、医療や介護の現場で使われる商品を開発しているが、医療や福祉の現場を実際に訪れる機会はほとんどない。
今後、可能性を探りたいのが、実際のビジネスに結びつく連携だ。例えば、介護事業者との連携なら、商品開発や提案内容に活かすことができる。特に、自社の新分野で連携できる地元のパートナーを探したいという思いがある。